印刷紙器・化粧箱

チップボールとは?生産状況やその他の板紙との違いを解説!

2021.03.30

チップボールは、古紙で作られた板紙の一種です。主に型紙や紙仕切りなどに使用されています。

 

一昔前までは盛んに活用されていましたが、印刷適性や加工適性が高い用紙の登場や折箱作成業者の後継人不足などの理由によって1980年をピークに生産数は減少傾向にあります。とはいえチップボールの需要は根強く、特定層からはまだまだ活用されています。

 

本稿では、そんなチップボールの特徴や現在の生産状況、その他の板紙との違いを解説します。

 

チップボールとは?

チップボールとは、下級古紙(新聞古紙・雑誌古紙など)で作られた板紙の一種です。

 

印刷適性や加工適性があまり良くないため、主に型紙や張箱の芯材、紙仕切り、紙器などに使用されています。パッケージとして使用されることはほとんどありません。下級古紙で作成されているため耐久性が低く、折り曲げると破けてしまうからです。

 

しかし印刷適性が低い分、価格は非常に安いというメリットがあります。

 

チップボールにはいくつか種類があり、「裏白チップボール」「両白チップボール」「茶ボール」などがあります。

 

チップボールの生産状況

チップボールの生産数は、1980年をピークに年々減少傾向にありました。2008年のリーマンショックで大きく生産数が落ち込んだ後、2010年以降は横ばいになっています。

 

チップボールの生産数が伸びない原因は大きく2つです。

 

1つは「他の用紙へのシフト」です。チップボールは先ほどお伝えした通り印刷適性が高くありません。そのため、パッケージの小型化やデザインの多様化に加え、印刷加工の機械化が進んだ現在ではチップボールでは対応できないことが増えてしまいました。

 

需要の変化に伴い「チップボールメーカーが減少」していることも生産数が伸びない原因の1つです。各メーカーは市場変化に対応するため、統廃合を行い、需要が少なくなったチップボールの生産数を少なくしています。

 

そもそも板紙とは?

チップボールは板紙の一種だとお伝えしました。しかし、そもそも板紙とはどのような物なのでしょうか?

 

板紙の種類は大きく5つ

 

チップボールを含むすべての板紙は以下の5つに大別できます。

 

段ボール原紙 段ボール箱の素材になる原紙。
紙器用板紙 紙器(紙コップや紙皿など)の素材になる原紙。食飲料を入れる器のため、耐水コートを施したものが主流。
建材原紙 壁紙や化粧紙などの建材用品の素材になる原紙。壁紙に使用される場合は耐火性を上げるため特殊加工が施されている。
紙管原紙 フィルムの巻芯や表彰状などを収納する筒容器の素材になる原紙。耐久性を高めるために複数層で成っている。
その他原紙 コピー用紙を包装している紙(ワンプ)や、その他台紙などの素材になる原紙。

 

各種板紙の名称と特徴

 

各種板紙の名称と特徴をそれぞれご紹介します。

 

段ボール原紙

 

大カテゴリ 小カテゴリ 特徴
ライナー 外装用(クラフト)
  • 主原料はクラフトパルプ
  • 段ボールシートの表裏に使用される
  • 巻取
外装用(ジュート)
  • 表層はクラフトパルプが原料
  • 中、裏層は古紙が原料
  • 段ボールシートの表裏に使用される
内装用
  • 原料は古紙
  • 強度に関するJIS規定がない
  • 段ボール箱の中仕切用等
中しん原紙 パルプしん
  • 主原料はパルプ
  • 段ボールシートの「フルート(段)」に使用される
  • 巻取
特しん
  • 原料は古紙
  • 段ボールシートの「フルート(段)」に使用される
  • 巻取

紙器用板紙

 

大カテゴリ 小カテゴリ 特徴
白板紙 マニラボール(塗工・非塗工)
  • 表層は晒パルプが原料
  • 中、裏層はパルプ又は古紙で抄合わせたものが原料
白ボール(塗工・非塗工)
  • 表層は晒パルプが原料
  • 中、裏層は古紙で抄合わせたものが原料
  • マニラボールより分厚い
黄板紙
  • 原料は稲ワラ、古紙を抄合わされたもの
  • 黄土色
チップボール
  • 原料は古紙を抄合わせたもの
  • 黄板紙の代わりに使用される
色板紙
  • 主原料は古紙を抄合わせたもの
  • 染料で着色したものが一般的

紙管原紙

 

カテゴリ 特徴
防水原紙
  • 原料は古紙や繊維ぼろを抄合わせたもの
  • アスファルト等を含浸
石こうボード原紙
  • 原料は古紙を抄合わせたもの
  • 耐火性の高い壁材

 

その他原紙

 

カテゴリ 特徴
紙管原紙
  • 原料は古紙を抄合わせたもの
  • 紙、布などの巻芯、紙筒等に使用される

板紙の生産状況

紙・板紙の累計生産数は、2008年まで3000万トンで推移していましたが、リーマン・ショック後に2800万トンまで大きく落ち込み、2019年には2500万トンまで低下しています。

 

しかし板紙単体での生産状況を見ると、2005年が1243万トン、2019年が1178万トンと約70万トンしか減少していません。

 

2019年時点の生産数の内訳は以下の通りです。

 

  • 段ボール原紙:910万トン
  • 紙器用板紙:196万トン
  • その他板紙:65万トン

 

※参考:日本製紙連合会「製紙産業の現状|紙・板紙」

 

Amazonを筆頭にネット通販での消費活動が盛んになっているため、段ボールの生産数は堅調に推移していることがわかります。

 

チップボールを含む「その他板紙」は90年から年々減少を続け、1990年から2019年の間で生産数は約半分になっています。

 

チップボールの用途

 

チップボールは印刷適性が低いため、台紙や折り曲げのない紙仕切りとして活用されています。代表的な用途を以下に挙げます。

 

▼主な用途

  • 型紙
  • 台紙
  • 表紙
  • 郵便物の保護材
  • POP
  • カルトナージュ工作用紙
  • お子様の工作用紙
  • パッケージ用紙
  • 箱の中敷・下敷
  • 仕切り紙
  • 本の表紙の芯

上記を見ても分かる通り、高いデザイン性が求められるものにチップボールは使用されていません。パッケージやポストカードなどでは印刷適性の高いコート紙などを活用するようにしましょう。

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この記事を書いた人

株式会社パケナビ代表 杉山

弊社では包装資材全般の設計・製造・販売を行っています。化粧品、食品、トイレタリー製品などのトータルパッケージング納品が強みで、提携の物流網を活用し費用対効果の合うご提案をいたします。

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