2021.03.30
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印刷物に施すPP加工ですが、どのような種類や特徴があるか知っていますか?
当記事では、PP加工の種類や特徴について紹介していきます。
種類によって適している加工方法が異なりますので、PP加工を依頼予定の方はぜひご覧ください。
目次
PP加工とは、印刷用紙の表面をコーティングするラミネート加工の一種です。
PP加工の「PP」はポリプロピレンのことで、シャンプーや化粧品の容器、おもちゃ、文房具などのさまざま場面で利用されるプラスチック素材です。
なお、印刷面を保護する目的でPP加工を用いるケースが多く、長く使う教科書や参考書などの表紙、保存することが予想される写真集などによく使用されています。
PP加工にはいくつか種類があります。
その中でもよく使用されるPP加工の種類を4つ取り上げ、特徴を紹介します。
光沢のあるつるつるとした手触りが特徴の加工を「グロスPP加工」といいます。
グロスは「つや」という意味で、その名の通り、つやのある加工を施します。
また、「クリアPP加工」や「つやPP」、単に「PP」と呼ぶこともあります。
色彩をより鮮やかに見せたい場合に適した加工方法で、グラビア写真やカタログなどに用いられることが一般的です。
加工には「PPフィルム」を使用し、紙表面を覆います。
「マットPP加工」は光沢を抑えた加工方法で、サラサラとした手触りが特徴です。
グロスPP加工はつやつやしているためにカジュアルな印象を与えることがありますが、マットPP加工は落ち着いた高級感のある印象に仕上がります。
マットは「つや消し」という意味で、つやがない分、指紋や汚れが付着しにくく、加工したばかりの状態を長く維持できる効果もあります。
高級マンションや会員制リゾート、高級車などの高級なイメージの商品カタログに使用されることが多いです。
なお、加工には「マットPPフィルム」を使用します。マットPPフィルムはPPフィルムよりも高額なため、予算も高めになります。
「エンボスPP加工」は表面にレザー調の凹凸を施す特殊な加工方法で、特有の手触りを楽しむことができます。
高級感・重量感があるため、高級品のカタログにも用いられます。
エンボス加工は、PPフィルムやマットPPフィルムで覆ってから型押しをするため、他の加工よりは時間と手間がかかりますが、近年は需要も伸びているため、低予算でも対応している印刷所もあります。
レーザー彫刻でフィルムの中間層に柄を入れる加工方法を、「ホログラムPP加工」といいます。
通常のPPよりも反り返りが強いため、ホログラムPP加工した紙面を異なる加工を施した紙ではさんで製本することもあります。
ホログラムPP加工は、強いインパクトを与えることができる加工方法です。
見る角度によって輝きが変化するため、表紙にも使われることが多いです。
作業工程が多く、価格も高くなるので、本一冊全体に使用することは滅多になく、特定の紙面に限定して施すことが一般的です。
紙面にPP加工を施すことにはいくつかメリットがあります。
その中でも注目したい3つのメリットを紹介します。
紙面にPP加工を施すと、摩擦によるキズや汚れが付きにくくなり耐久性が上がるため、長期保存しやすくなります。
とりわけインキ量の多い濃色のインク剥がれを予防することができ、鮮やかな発色を維持することもできるでしょう。
カタログや店頭POP、パンフレットなどは長期間使用することが想定されますので、PP加工で耐久性を向上しておきたいものです。
また、加工をしていない紙は強度が低いため、印刷物に折り加工を加えるときに背割れすることがあります。
PP加工によって強度を高めることで、背割れ予防にも繋がります。
PP加工をすると光沢やつやといった見た目が高級になるだけでなく、つるつる・さらさら、またはレザーのような手触りになるので触感にも高級感が生まれ、印刷物がより映えます。
加工をすると紙の厚みが増すことも、高級感・重厚感向上に繋がるでしょう。
単にインクで印刷すると、接触する紙や布、プラスチックなどに色移りすることがあります。
特に濃色の印刷物は色移りしやすく、大切なものに接触していないか注意するだけでなく、湿気のある状態で長期間放置しないか管理する必要もあります。
PP加工を施すならインクが接触する紙や布等に直接触れることがないため、色移りしにくくなります。
また、摩擦によるキズや汚れが付きにくくなり、耐久性が上がって長期保存しやすくなる点もPP加工のメリットです。
PP加工によって耐久性と高級感が増し、色移りも防げるようになりますが、デメリットがないわけではありません。
PP加工をすることのデメリットを3つ紹介します。
PP加工をすることで加工しない紙よりは耐水性が増します。
しかし、多少の水がはじく程度の耐水性の向上なので、完全に防水できるわけではありません。
用紙とフィルムの間から水が浸透する可能性があり、紙が曲がったりインクがにじんだりすることもあります。
薄い用紙にPP加工を施す場合や、片面のみにPP加工を施した場合は、用紙が反ってしまう可能性があります。
これは、フィルムによって紙が引っ張られたり、加工していないほうの紙面から吸放湿してしまったりすることが原因です。
PP加工を施すことで、印刷した絵柄の色濃度が濃く見えるようになることがあります。
予定していたイメージと異なる可能性もあり、場合によっては印刷からし直す必要も生じるでしょう。
特に赤色系を濃く見せる傾向があるので、PP加工をすることが分かっている場合は、印刷の時点で色を調整しておく必要があります。
過去の事例でPP加工前とPP加工後を比較し、色味を抑える工夫をすると良いでしょう。
色濃度の変化に関しては、印刷の時点で色味を調整しておくことで、ある程度解決することができます。
また、完全防水ではないということに関しては、湿気のある場所や濡れる可能性がある場所にPP加工を施した紙面を置かないことでトラブルを回避できるでしょう。
PP加工による用紙の反りに関しては、両面にPP加工を施して紙の吸放湿を防ぐことで回避できます。
ただし、PP加工を必要としない紙面もPP加工を施すことになり、コストが増えてしまうというデメリットがあります。
また、見開きの片側だけにPP加工を施ることは不自然な印象を与える可能性もあります。
PP加工が必要な紙面だけにPP加工を施すためにも、ページの順番を工夫し、ローコストで最大限の効果を引き出せるようにしていきましょう。
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